伊藤忠の情報・金融事業の取組は?│新たな成長エンジンとしてビジネスモデル進化を主導

伊藤忠の情報・金融関連の事業の取組について見ていきます。

伊藤忠では、会社の新たな成長エンジンとして、情報・金融がカギとなる捉えており、グループ内に情報・金融の機能を付加し総合力を発揮し、伊藤忠の持つリアル資産とネットの融合を行い、収益モデルを進化されることを基本戦略としている。

伊藤忠│情報金融カンパニーの収益

情報金融カンパニーの20年3月期当期利益は625億円

セグメントの収益から見ていくと、繊維カンパニーの20/3期 当期利益は625億

前年比から▲43億の減益となっていますが、伊藤忠全社の中で(金属に次ぐ)2番目の稼ぎ頭のカンパニーであることが分かります。

出所:伊藤忠│2020年3月期決算資料

伊藤忠の情報金融カンパニーの利益推移

以下は伊藤忠の時系列のオペレーティングセグメント別の当期利益の推移ですが水色が同カンパニーの当期利益となっている。15年度に設立されて以降、着実に収益に貢献している事が分かります。

出所:伊藤忠│統合報告書2019

伊藤忠商事の情報金融カンパニー事業

同カンパニーは、情報(ICT・BPO・ヘルスケア)、通信(モバイル・メディア・通信衛星)、金融(リテール・法人)、保険(流通・引受)と国内外を中心に多岐に渡るサービスを展開している。

今後の重点政策としては、①越境EC、新たなリテールファイナンスを活用した海外事業基盤拡大、②新技術活用による新規ソリューション展開、③ベンチャー企業の発掘・提携および事業開発の推進を掲げる。

 

出所:伊藤忠│統合報告書2019

 

情報・通信│ITサービス事業

  • 伊藤忠テクノソリューションズ(”CTC”)を中核事業会社に擁している。CTCは国内最大手のシステムインテグレーターである。
  • インドネシアのIT企業であるNusantara Compnet IntegratorとPro Sistimatika Automasiの2社の子会社化を行い、インドネシアを中心としたASEAN市場開拓を目指す。また米国Quidと提携し、テキスト情報分析クラウドサービスの提供を開始。また伊藤忠インタラクティブは、Website構築運用などを手掛ける。
  • ベンチャーキャピタル事業では、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(”ITV”)がIT関連ベンチャーを対象とした投資ファンドを組成運営している。ITVは現在3号と4号の2ファンドを運営中。近年ではヘルスケア関連銘柄への投資が増えている。他にも、伊藤忠本体を通じて、米国の乗り合いサービスを行うVia Transportation、データ取引プラットフォームのフランスDawex、日本でインターネット広告配信を行うフリークアウトホールディングスとの提携などを発表している。

情報・通信│モバイル事業

  • NTTドコモの最大手販売代理店コネクシオが中核会社となる。

情報・通信│通信・衛星・メディア事業

  • メディア事業では、LINEとの次世代型テレビにおける協業を発表。また、スカパーJSATホールディングス(宇宙・衛星事業、アジア最大の有料多チャンネル事業)や、スペースシャワーネットワーク(映像作成、メディア・コンテンツ)へ出資を行っている。
  • 通信衛星事業では、衛星データ解析の米Orbital Insightへの出資や、JAXAとの小型実証衛星事業、宇宙ベンチャーのアクセルスペースとの地上局サービス事業、地理空間情報サービスのパスコとの提携など、宇宙・衛星事業において様々な打ち手を行っている。

情報・通信│BPO事業

  • 国内最大手のベルシステム24(国内最大規模のコンタクトセンター運営)を中核会社としている。凸版印刷との協業によるデジタルカスタマーサービスの共同開発や、スプリームシステムとの間で新CRMソリューションでの協業を発表している。

情報・通信│ヘルスケア事業

  • エイツーヘルスケア(CROとよばれる臨床開発業務受託で国内有数規模)、BIM(医療健康分野のコンタクトセンター運営)、ウェルネス・コミュニケーション(企業・保険者を対象にした健診予約手配・精算代行)などへの出資を果たした。
  • 19年には東南アジア4ヵ国で8万人を超える医療従事者向けSNS事業を行うDocquity Holdingsへ出資を行った。

 

金融・保険│リテールファイナンス事業

  • 海外では、香港・中国で個人向け無担保ローン事業を行うUnited Asia Finance(”UAF”)タイの個人向け無担保ローン事業会社Easy Buy英国オートローン会社First Reponse Finance(”FRF”)などを持つ。インドネシアではPasar Dana Pinjaman社を通じて資金の貸し手と借り手をつなぐP2Pレンディングサービスを開始した。またフィリピンではアコム(ローン・クレジットカード)とのJVを設立し個人向け融資事業を開始した。
  • 国内では、オリコ(信販国内最大手)ポケットカード(ファミマカードを扱う)が主要事業会社となる。

金融・保険│法人向けファイナンス事業

  • 中国では、リース会社Tokyo Century Leasing Chinaを通じて在中邦人企業向けにサービスを提供。
  • 国内では、GLコネクト社がファクタリング事業を行う。

金融・保険│生保リテール事業

  • 保険ショップ国内最大手のほけんの窓口グループへ出資。

金融・保険│損保仲介事業

  • 国内では伊藤忠オリコ保険サービス(保険代理店業務)、I&Tリスクソリューションズ(ブローカー業務)
  • 香港でCosmos Services(日経企業への保険ブローカー業務)

金融・保険│損保引受事業

  • 伊藤忠グループの顔津海上保険や、グループ保険契約の再保険引受事業