伊藤忠の機械インフラ事業の取組は?│安定収益を生み「非資源の伊藤忠」を支える中核事業

伊藤忠の機械インフラ関連事業の取組について見ていきましょう。

伊藤忠│機械部門の収益

機械カンパニーの20年3月期当期利益は567億円

まずはセグメントの収益から。機械カンパニーの20/3期 当期利益は567億

前年比から+96億の大幅増益となっており、伊藤忠において安定的に500億超の利益を生んでいる重要なセグメントであることが分かります。

伊藤忠│2020年3月決算│セグメント別

出所:伊藤忠│2020年3月期決算資料

伊藤忠の機械部門の利益推移

以下は伊藤忠の時系列のオペレーティングセグメント別の当期利益の推移ですが、オレンジ色が機械カンパニーの当期利益となっている。

かなり安定的に・堅実的に成長している事が分かります。「非資源に強い伊藤忠」の成長を陰ながらささえる優良事業となっていますね。

出所:伊藤忠│統合報告書2019

伊藤忠商事の機械事業

他の商社同様、幅広い事業を行っているのが特徴です。プラント・電力、船舶・航空、自動車、建機・産機・医療機器などを主たる事業としています。

以下の通り、世界中で様々な拠点を有している事が分かる。

伊藤忠│機械カンパニー│事業展開

 

出所:伊藤忠│統合報告書2019

 

それでは各事業分野毎に伊藤忠の取組を見ていきましょう。

電力事業

  • 伊藤忠は、2030年までに再生化のエネルギーによる発電比率を現在の10%から20%に高める目標を掲げている。また、2019年には「新規の石炭火力発電事業の開発および一般炭探鉱事業の獲得は行わない」との方針を発表した。
  • 発電方式は、ガス火力と再エネを中心としており、長期安定収益が見通せるPPA(電力販売契約)やFIT(固定価格買取制度)、CfD(砂金決済契約制度)などの案件に取り組んでいく方針である。
  • IPP事業では、Tyr Energy社を通じて米国ペンシルベニア州Hickoryガス火力発電事業への参画、スペインの大要綱発電所Solaben2&3、ドイツの養生風力、インドネシアのサルーラ地熱発電や、同国のCentral Java石炭火力などを有している。国内でも、太陽光を愛媛、大分、岡山、佐賀、バイオマスを千葉で行っている。国内外の持分発電容量は3,211MW(19/3時点)となっている。
  • その他、太陽光分散電源事業に注力しており、国内ではVPP Japanとの資本業務提携を行い、災害対策用の自立型電源導入などを進めている。海外では、タイの太陽光発電事業者のSymbior社と提携し、伊藤忠傘下のドール社の加工品工場施設内で太陽光発電事業などを行っている。
  • また、米国ではNAES社へ出資しており、米州を通信に全世界170か所以上の発電所向けに運転・保守サービスおよびアセットマネジメントサービスを展開しており、独立系としては世界最大の事業者となる。

プラント事業

  • 直近の電力EPC分野のプラント成約実績では、バングラディッシュの送電線建設やインドネシアでの石炭火力発電所建設、セルビアでの排煙脱硫装置建設などがある。
  • 交通プロジェクトでは、ボンバルディアと共同で、豪州での鉄道車両供給事業(PPP事業)を推進。他にも川崎重工と中国での鉄道車両設計事業を行っている。港湾では、商船三井と共同でベトナムでのコンテナターミナル建設・運営を手掛ける。
  • 水・環境分野では、英国Bristol Waterへ出資し英国での上水サービスへ参入。豪州ではヴィクトリア州での海水淡水化事業に参画しメルボルン市へ水の供給を行っている。また英国では複数個所で廃棄物処理発電事業(EfW)へ参画している。
  • インフラ分野では、世界4位の長大吊橋であるトルコのイズミット横断橋をIHHと共にEPC成約。また同トルコにて製油所の建設も行った。

船舶事業

  • 船舶では、一般商船のトレードビジネスからLNG/海洋案件までを幅広く手掛けている。子会社には、外航船の運航管理業務を行うアイメックスアイメックス上海、海運造船業界向けのポータルサイトを運営するマリンネットを子会社として擁する。
  • トレードは、新造船仲介、中古船仲介、ファイナンス、用船仲介などを主として行う。鉄鉱石・石炭・穀物などの荷動きの多寡に影響を受けやすいビジネスではあるが、着実に利益を出している。
  • 事業投資では、一般商船事業ではアイメックスを通じて、自社保有船や共有船の保有・運航管理を行っている。また、LNG船事業では商船三井や飯野海運と共同保有を行っている。さらに、海洋案件では、ブラジルのペトロブラスが行う海洋油田向けに日本郵船とのJVを通じてFPSO事業1隻を手掛けている。

 

航空宇宙事業

  • 航空機リース事業では、ボーイングやエアバスといった欧米主力メーカーの航空機体を国内投資家向けに販売し、機体をエアライン会社へリースバックするSLB(セールス&リースバック)という事業を展開している。さらには、リース大手の東京センチュリー(”TC”)に25%出資しており、19年12月にはTCが世界11位の米国航空機リース会社のAviation Capital Groupを買収したことが話題になった。
  • 航空機内装品の製造販売では、伊藤忠が出資するジャムコを通じて展開している。大手エアラインへラバトリー(化粧室)やギャレー(厨房設備)装品を提供しており、世界トップシェアを誇る。
  • 航空関連機器やビジネスジェットの代理店事業は、子会社の日本エアロスペース(JAC)が手がけている。
  • 防衛関連事業では70年にわたり世界の航空宇宙防衛メーカーであるボーイング、ロッキードマーチン、ハネウェル、レイセオン、ノースロップ・グラマンと強固な信頼関係を築いている。政府専用機、大型輸送ヘリ、戦闘機用レーダー、ミサイルなどのシステムを扱う。
  • 他にも、小型衛星を活用したデータ配信事業として、米国衛星データアナリティクス企業のSpire Globalへ出資し、航空機・船舶のステータス情報などを観測が可能である。

自動車・産機・建機・医療機器事業

  • 自動車事業では、全世界で自動車や建設機器のトレードビジネスを展開している。国内最大の輸入車ディーラーであるYANASEへの出資や、いすゞ自動車との合弁によるオートリース事業などを行う。
  • また、トレード拡販のための機能型事業として、小売事業、販売金融、部品流通事業なども手掛けており、工作機械や自動車部品製造をてがけるトーヨーエイテック社へ出資している。
  • 医療機器分野では、米国ViewRay社のMR画像誘導放射線治療装置の国内販売代理店を務める。センチュリーメディカル社は広範な診療分野の医療機器を扱う代理店業を行う、また神戸製鋼とのJVで神戸メディカルケアパートナーズ社を設立しPFI事業で設立された神戸市内の病院に向けた医療周辺サービスの提供を行っている、整形外科分野の日本エム・ディ・エム社などへ出資している。米国では、Telerent Leasing社を通じて病院向けTVソリューション・音響映像システムの販売を行う。
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