住友商事の「生活・不動産部門」の後編として「生活資材・不動産」領域での取組を見ていきます。
住友商事│生活・不動産部門の収益
20/3期の生活・不動産部門の利益は513億円である。国内の主力子会社や不動産事業が好調に推移した結果、前年から+92億円と大幅な増益となった。
この結果、住商では（インフラ事業に次ぐ）2番目に大きな収益を稼ぐ部門へと成長した。
住友商事│生活・不動産部門の事業戦略
生活・不動産部門は、「ライフスタイル・リテイル事業」、「食料事業」、「生活資材・不動産事業」の３つの事業を柱としている。
本部戦略においては、サミット（食品スーパー）・トモズ（薬局）・青果事業・不動産の４つをコア事業と位置づけており、ヘルスケア・バイオマス・スマートシティの3つを新領域と定義している。
住友商事│生活資材・不動産事業概要
不動産事業
住友商事は、商社TOPの不動産事業を展開しており、オフィスビル、商業施設、住宅、物流施設、REIT、海外事業、BTS（オーダーメイド型開発事業）、ファンドなど、エリア開発から運用まで自ら手掛ける総合不動産ディベロッパーの実力と実績を有している。安定性×資産効率性の観点から、賃貸および分譲の双方を手掛けている。
国内ビル事業
- PREXブランドで中規模オフィスビルの開発を住商本体で行う。子会社には、住商ビルマネージメント（施設の管理・運営）、住商インテリアインターナショナル（ホテル・オフィスのインテリアの設計・施工）を擁する。
商業施設事業
- テラスモールブランド等で都市型・駅前型の商業施設の発掘開発を住商本体で行い、プロパティマネジメントや不動産売買仲介は子会社の住商アーバン開発が行う。
住宅・都市事業
- クラッシィハウスブランド等で高級分譲マンション事業や大型の複合開発案件を行っている。住宅・不動産の売買は住商建物が行う
不動産投資開発事業
- BTS事業、物流不動産開発、不動産ファンド事業などを手掛ける。子会社の住商リアルティ・マネジメントを通じて、不動産私募ファンドのアセマネや私募REIT、米国での私募ファンドを行っている。物流不動産開発では、SOSLiLAブランドでの案件開発を進めている。
海外不動産事業
- 米国でのオフィスビル不動産事業や宅地造成事業や賃貸マンション事業も手掛ける。東南アジアでは、インドネシアのSummitmas Propertyがジャカルタの構想オフィスビルや大型賃貸倉庫運営事業などに取り組む。
- 中国の上海や蘇州で現地デベロッパーとマンション開発、インドでは現地財閥のKrishnaグループと合弁で北部ハリヤナ州で日系企業初となるマンション開発・分譲事業に参画した。また、インドネシアでは現地デベロッパーのSentul Cityおよび阪急不動産との合弁で西ジャワ州の分譲マンション開発ならび現地デベロッパーJSIおよび東急不動産との合弁事業でジャカルタでの高層分譲マンション事業に取り組む。
木材資源事業
- ロシアの林産企業Terneylesへの出資による原木の栽培・販売、木材の製造販売を行っている
- ニュージーランドのSumitoom Forests New Zealandでの森林資産保有、ファイナンス、原木伐採・販売を手掛ける
- 木質建材事業は、セブン工業を持つ
バイオマス・チップ事業
- チリのVolterra植林事業を通じて製紙メーカー向けに製紙原料用チップを供給
- バイオマス発電所向けの燃料用チップ販売事業を行っており、国内で稼働中の半田バイオマス発電（愛知県）や酒田バイオマス発電所（山形県）向けにチップ・ペレットを供給している。
- ブラジルのCosan Biomassaへ出資し、バイオマス発電向けサトウキビ固形燃料ペレットの製造販売を行う。
- 同じく、カナダのPacific BioEnergyへ出資し木質ペレット製造も行っている。
建材事業
- 建材では、SMB建材（三井住商建材と丸紅建材の統合で誕生）とアイジー工業（住宅用金属サイディングで業界1位）を擁する
セメント事業
- 子会社の住商セメントを中核（セメントや生コンの販売）の日本・シンガポール・ブルネイ・香港などへの販売事業
