三井物産│エネルギー部門の収益
20/3期の収益実績から見てみます。
以下が三井物産のセグメント別当期利益の内訳となる。エネルギー部門は残念ながら原油・ガス価格の下落など市況の悪化による保有資産の減損等が響き600億(対前期比▲360億)程度まで大幅な減益となった。
全社利益に占める割合は、23%から15%へ減少した。
三井物産のエネルギーセグメント
事業戦略
中計2023においても、エネルギー分野は中核事業として「オイル&ガスの生産量・埋蔵量・LNG生産力の強化」と「既存資産の競争力強化」、「トレーディング収益拡大」、「再エネ、新エネ事業の拡充」の4つを挑戦領域として掲げている。
本部の取り組み
エネルギー関連として、「エネルギー第一本部」と「エネルギー第二本部」の2本部制を敷いている。
エネルギー第一本部は、石油・ガスのE&P、石炭・石油のトレード、原子燃料などを扱っている。一方でエネルギー第二本部は、LNGプロジェクトや環境・次世代エネルギー関連を扱う。
2020/3に発表した中計2023では、エネルギー部門は中核事業の一つに掲げられている。
具体的案件では、以下6プロジェクトをあげている。
- 米国メキシコ湾沖合Kaikias油田開発・生産プロジェクト(2018年生産開始)
- 西豪州沖グレーターエンフィールド油田開発・生産プロジェクト(2019年生産開始)
- 伊テンパロッサ油田開発・生産プロジェク(2020年生産開始)
- 米国ルイジアナ州キャメロンLNG(液化天然ガス)プロジェクト
- モザンビーク共和国ロブマ・オフショア・エリア1鉱区プロジェクト
- ロシアアークティックLNG2プロジェクト
今後、収益貢献が期待されるオイル&ガスのアセットは地理的にも分散されており、今後の三井物産の収益の屋台骨となることが期待されている。
石油・ガスE&P分野
E&P = Exploration & Production(開発&生産)の略で、地面の奥深くに眠る資源を探し当て、開発し、生産して販売するビジネスである。
以下は2015/11時点の情報とやや古いが、世界各地でE&Pアセットを保有している事が分かる。
LNG分野
こちらも15/11時点とやや古いが、稼働中および計画中のものも含めて各地にLNGのアセットを保有している事がよくわかる。
トレード分野
石油や石炭のトレードに関しては、シンガポールを拠点とする Mitsui & Co. Energy Trading Singapore (METS)がLNG・石油トレーディングなどを行っている。
リテール分野
リテールでの主な取り組みは、ENEOSグローブが、LPGを海外から輸入し国内販売を行っている。19年には、ENEOS都市ガスの代理店として都市ガス事業へ参入することを発表した。
新規分野
そのほか、環境・次世代エネルギー領域での取り組みとして、バイオマス発電、地熱発電、石炭火力CO2回収事業などを推進している。