伊藤忠の生活産業事業の取組は?│不動産、物流、紙・ゴム・建材など幅広い事業展開

生活産業(コンシューマー)関連事業について、「衣・食・住」に関するおもに「住」の部分を扱う事業組織です。伊藤忠の住生活カンパニーの事業概要について見ていきます。

伊藤忠│住生活カンパニーの収益

住生活カンパニーの20年3月期当期利益は550億円

セグメントの収益から見ていくと、住生活カンパニーの20/3期 当期利益は550億

前年比から▲76億の減益となっており、「非資源商社ナンバーワン」を謳う伊藤忠を支える重要なコンシューマー事業セグメントとなっています。

伊藤忠│2020年3月決算│セグメント別

出所:伊藤忠│2020年3月期決算資料

伊藤忠の住生活カンパニーの利益推移

以下は伊藤忠の時系列のオペレーティングセグメント別の当期利益の推移ですがグリーン色が同カンパニーの当期利益となっている。15年度から独立部門としてスタートしましたが、順調な成長を見せている事が分かります。

出所:伊藤忠│統合報告書2019

伊藤忠商事の住生活カンパニー事業

同カンパニーは、①紙・パルプ・衛材(製造・卸)、②天然ゴム・タイヤ(加工・卸・小売)、③木材・建材(製造・卸)④物流(3PL、国際輸送)、⑤不動産開発運営(住宅・物流施設)、

など、消費者の住まいと生活にかかわる広範な事業を手掛けており、グローバルに拠点を有している事が分かる。

出所:伊藤忠│統合報告書2019

 

生活資材・物流│紙パルプ・衛材事業

  • 伊藤忠紙パルプ(紙・板紙・紙加工品卸売)、日伯紙パルプ資源開発を通じてブラジルのセニブラ(紙パルプ製造)へ出資。
  • また英国のITOCHU FIBRE(”IFL”)を擁し製紙用パルプ・チップ、紙製品の販売を行う。IFLを通じて、世界最大級のフィンランド針葉樹パルプメーカーのMetsa Fibreへ出資も行っている。

 

生活資材・物流│天然ゴム・タイヤ事業

  • 天然ゴム関連では、インドネシアの天然ゴム加工業者Aneka Bumi Pratama(”ABP”)へ出資しており、販売はシンガポールのRubbernet社が手がけている。
  • タイヤ関連では、欧州タイヤ事業を統括する英国European Tyre Enterpriseを通じ、Stapleton’s(卸売)やKwik-Fit(小売)へ出資している。

 

生活資材・物流│木材・建材事業

  • 木材・建材関連では、中核会社の伊藤忠建材(建設・住宅資材)を擁するほか、18年に大建工業(住宅用建材)と資本業務提携を実施。
  • 設備資材分野では、米国Master Halco(金網フェンス)は米国フェンス卸の最大手や、英国Alta Forest Products(木製フェンス)を持ち、双方の販売相乗効果を狙う。

 

生活資材・物流│ロジスティクス事業

  • 伊藤忠ロジスティクス(”ITL”)が物流事業の中核子会社。グループ唯一の総合物流企業として、陸・海・空すべての物流をカバーし、中国、米州、欧州、インド、ASEANに独自ネットワークを持つ。
  • 米国のITOCHU Logistics USAが3PLおよびフォワーディング業務を手掛けており、NTTと共同で運送車両の運行状況の視える化ソリューション事業などを行っている。
  • 欧州では、フランスの物流大手GEFCO社と提携し、欧州~日本間の一貫輸送サービスを開始した。
  • 中国のITOCHU Logistics Chinaでは、ECビジネスの成長やアパレル関連需要などに強みを持つ。山東省青島での冷凍倉庫事業なども行う。
  • 中国のドラッグストアチェーンの成都泉源堂に出資しており、成都・重慶を中心に200店舗の薬局を持つ同社のネットワークを活用し、医薬品卸売事業やEC事業も手掛け、日本のヘルスケア商品の導入も進めている。
  • そのほか、インドネシアではの工業団地内での物流センター事業、インドでは現地財閥Parekh社との合弁で物流事業、ベトナムでのエーアイティー社との共同事業で国際貨物輸送事業などを行っている。

3PLとは?

3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは物流部門を第三者企業に委託する業務形態を指す。なぜ3PL(サードパーティー・ロジスティクス)という名で呼ばれているのかというと、メーカーをファーストパーティー、問屋や小売をセカンドパーティーと位置付けた場合、物流業務を担う企業はサードパーティーに相当するからです。

 

フォワーディングとは?

フォワーディングサービスは複合運送業務を指し、運送、通関、保管、船積み等の 一貫業務を専門業者に任せてまとめること。
フォワーダーというのはこの仕事を専門的に代わりに行う者で、貨物を委託したお客様の代理人として送先の貨物を指定場所に引渡すまでの集貨、入出庫、船積、運送、保険、保管、配達など全ての業務を全面的に責任をとり遂行します。

出所:国際エキスプレスホームページ

 

建設・不動産│住宅開発事業

  • 中核を担う伊藤忠都市開発(”IPD”)マンションの建設・分譲事業、賃貸マンション、オフィスビル、ホテルなどの不動産開発を手掛ける。関連会社の伊藤忠ハウジングが分譲マンションの販売を、伊藤忠アーバンコミュニティが賃貸マンションやオフィスビル、物流施設の総合管理サービスを行う。
  • またアドバンス・レジデンス投資法人を運用しており、主に伊藤忠グループが管理する賃貸マンションを組み込んでいる。運用資産規模4400億に達しており国内の住宅系J-REITとしては最大規模を誇っている。
  • イトーピアホームは、戸建住宅の施工を手掛けている。また、センチュリー21・ジャパンは、不動産流通フランチャイズを展開しており、加盟店数が1000店舗規模までに成長している。
  • 中央設備エンジニアリングは設備設計・施工・保守管理を手掛ける。
  • 海外に目を移すと、IPDがインドネシアで現地大手デベロッパーのシナルマスランドと提携し、600戸の高層分譲マンション事業(Taman Permata Buanaプロジェクト)を行っている。
  • 米国では、金融都市ノースカロライナ州シャーロットでの600戸の賃貸マンション事テキサス州ダラスでの大和ハウス工業と共同事業で364戸の高層賃貸住宅開発(アトリエ・プロジェクト)に着手している。

建設・不動産│物流施設開発事業

主にBTS(Build to Suit)型専門物流施設やマルチテナント型汎用物流施設を展開している。物流施設特化型REIT「伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人」の運用や「伊藤忠リート・マネジメント」などを有する。

海外では、シンガポール政府系投資会社テマセク傘下の不動産開発投資運用会社であるMapletree Investmentsとの提携により、アジアで物流施設開発卸売り事業を推進している。これまで中国やマレーシア、米国などの物流施設を有している。

工業団地事業では、インドネシアの財閥大手シナルマスグループとカラワン工業団地の開発・分譲を行っている。

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