伊藤忠商事の化学品部門の取組は?│環境・医療・蓄電など新規事業を強化

伊藤忠│化学品部門の収益

伊藤忠の化学品部門は、「エネルギー・化学品セグメント」に内包されている。

伊藤忠│2020年3月決算│セグメント別

出所:伊藤忠│2020年3月期決算資料

 

伊藤忠商事の化学品部門

伊藤忠の化学品部門の取り組みに焦点をあてる。

基礎化学品から合成樹脂製品、電子材料、医薬品原料など幅広い商品群のトレードを展開しています。なかでも世界中に 広がる販売ネットワークを武器に、有機基礎原料、合繊原料、硫黄及びその誘導品、合成樹脂等の取扱数量は、総合商社でトップクラスの地位にあります。ト レードに加え、事業投資を通じて、川上から川下に至るポートフォリオの構築を多方面で進めており、伊藤忠ケミカルフロンティア(株)や伊藤忠プラスチック ス(株)等、数多くの有力事業会社を傘下に擁しています。
社会的なニーズに対応した新規ビジネスの創出にも注力しています。ライフ&ヒューマンケア等の医療分野、環境関連ビジネス分野でも積極的な開発を実行しています。医療分野では、医薬原料及び製剤のトレード、医療ライセンスビジネス、中国における医薬品卸事業、薬局チェーン事業、再生医療にも乗り出しています。環境関連ビジネスでは、環境配慮型素材の取組や、リサイクルを意識した新たなビジネスモデルをグループ一体となり取り組んでいます。社会のニーズに応える、マーケットイン型の取組みを強化しています

主な事業投資先

 

基礎原料化学品部

医薬品や芳香族、SAP(高吸水性樹脂)などを扱う伊藤忠ケミカルフロンティア

注目事業
三菱化学、ブルネイ国政府機関との合弁事業であるブルネイでのメタノール製造事業( Brunei Methanol Tanker Sdn. Bhd.)2010年より操業開始し、極めて安定した高稼働を続けているとの事。
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メタノールはその幅広い用途からC1化学の雄と呼ばれている。その70%が天然ガスから生産され、接着剤、農薬、塗料、合成樹脂、合成繊維、心臓病薬の原料等々、その最終用途は多岐にわたる。酢酸やホルマリン(ホルムアルデヒド)の原料となるほか、近年ではエチレンやプロピレンの原料としても使用されている。これらの物質を原料または中間素材として、多種多様な最終製品がつくられている。

 

工業原料化学品

 

肥料販売及びマレーシア肥料企業であるGOLDEN FERTILIZER ASIA SDN. BHD.およびAgromate Holdings Sdn Bhdへ出資。東南アジアのパーム農園向けの肥料などを製造販売している。

 

合成樹脂部

合成樹脂製品の販売を行う伊藤忠プラスティックス

合成樹脂の製造販売を手掛ける中核事業会社タキロンシーアイ

合成樹脂トレードを担うシンガポールのITOCHU Plastics やオランダのNCT Holland

 

リーテイル・資材部

コンビニ(ファミマ)や量販店向け日用品・雑貨の販売を手掛ける伊藤忠リーテイルリンク

プラスティック製ゴミ袋の製造販売等を行う日本サニパック

化学品貯蔵施設の管理運営、化学品・合成樹脂の国内外物流業務を行うケミカルロジテック

 

 

化学を軸とした新規分野での取り組み

環境配慮型の新素材事業への参画

18年にLIMEX事業を展開するTBM社と資本業務提携を締結し、環境配慮型ビジネスへの取り組みが注目されている。

「LIMEX」は石灰石を主原料とし、石油由来であるプラスチックの使用量を抑えたプラスチック代替製品となる新素材。

近年、海洋汚染の主要因としてマイクロプラスチックの問題がクローズアップされており、欧州をはじめとする多くの国々においてプラスチックゴミの削減に向けた規制が強化されます。今後世界中の企業が、限りある天然資源の使用を削減し、環境負荷が低い代替素材への切り換えを行なっていくことが予想されています。

TBMが開発・製造・販売している「LIMEX」は世界40か国以上で特許を出願し、日中欧米を含む20か国以上で登録済みです。

伊藤忠商事はESGを事業推進の重要課題と位置づけ、本資本・業務提携を通じて当社の強みである世界的なネットワークを活用したLIMEXおよびLIMEX製品の用途開発及び販売を推進致します。

TBM社との資本・業務提携を締結|伊藤忠商事株式会社
伊藤忠商事株式会社の「TBM社との資本・業務提携を締結」についてご紹介いたします。伊藤忠商事は繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融の各分野において幅広いビジネスをグローバルに展開する大手総合商社です。

再生医療事業への参画

失われたからだの組織を再生する医療技術である再生医療を手掛ける事業者への出資も積極的である。

18年にベルギーの再生医療ベンチャー企業Promethera Biosciences SA社(プロメセーラ社)への出資や、オーガンテクノのジーへの出資が注目視された。

再生医療分野での取組として、肝組織由来の再生医療用細胞医薬品の開発を行っている再生医療ベンチャー企業のPromethera Biosciences SA社(プロメセーラ社)と資本・業務提携契約を締結しました。プロメセーラ社は、健常人ドナーの肝組織由来の再生医療用細胞製品(他家・細胞医薬品)の開発を行っており、同製品は尿素サイクル異常症(UCD)、慢性肝不全の急性増悪(ACLF)、非アルコール性脂肪肝炎 (NASH)などの治療薬として現在、有効性検証の治験を進めており、世界初の肝臓疾患治療薬の実現に向けて、計画を着実に進めております。

また、同じく再生医療分野では、脱毛症治療やインプラントなどの領域で、細胞の培養技術を応用した治療法開発に取り組んでいるベンチャー企業である、株式会社オーガンテクノロジーズ社にも出資参画しております。

伊藤忠商事は、これまでの医薬関連ビジネスで培ったノウハウを活用しつつ、従来の合成薬では対応が未充足の症状に対する、新技術を活用したソリューション提供をめざし、優良な技術を有するパートナーとの連携を進めて参ります。

再生医療事業会社のオーガンテクノロジーズ社に出資|伊藤忠商事株式会社
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次世代リチウムイオン電池製造への参画

さらに18年に米国の24M社へ出資し、次世代リチウムイオン電池の製造・開発事業に共同推進することを発表した。
24M社は、安全性、エネルギー密度、製造コストなどで現行のリチウムイオン電池を上回る半固体電池の研究・開発企業です。現行リチウムイオン電池の製造工程を大きく改良、簡略化した独自プロセスを確立し、技術特許も取得、米国に実証用パイロットプラントを稼働させています。
最大の特徴は、現行リチウムイオン電池の性能を維持・向上できる上に、使用部材の削減、製造プロセス簡略化により、価格競争力のある製品を提供できる点にあります。
24M社は当該技術特許を複数の製造パートナーに供与し、2020年の稼働を目標に量産工場を建設予定です。現在、電気自動車、再生可能エネルギーの普及拡大に伴い、リチウムイオン電池の需要が急増しております。
伊藤忠商事は世界規模で広がる電池需要の高まりに応えるべく、24M社の半固体電池製造のライセンス事業をグローバルに展開し、電池部材の供給や製造設備の納入なども含め、需要地における現地パートナーとの電池製造事業を拡大してまいります。伊藤忠商事は、日本国内を中心に蓄電池ビジネスを展開しており、2018年10月時点で累計約10,000台(95MWh/30MW相当)の蓄電システムを販売しております。今後は国内のみならず海外でも蓄電池ビジネスの展開を進めていく予定であり、24M社への出資を通じて、蓄電システムの基幹部品であるリチウムイオン電池の安定調達体制を構築していきます。
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2018/181217.html

蓄電事業

伊藤忠は再生可能エネルギーの比率向上を通じた温室効果ガス排出削減、電力の安定供給化ならびに分散型エネルギー社会の実現に向けて蓄電池及び関連部材のビジネス展開に注力しており、伊藤忠商事の蓄電池バリューチェーンのコア事業と位置付けている。
これらを実現するために直近では国内外の事業会社との資本業務提携を進めている。
<伊藤忠が目指す蓄電池バリューチェーン>
2018年に家庭用蓄電池に活用したプラットフォーム事業を展開する英国のMoixa Energy Holdings Ltd. 社と資本業務提携を発表。伊藤忠は、モイクサ社が持つプラットフォーム技術ソフトウェア(商品名:GridShare)のうち、一般需要家向けサービスとなるGridshare Client(以下、「本サービス」)の国内独占販売権を取得した。
GridShareとは、AI技術を用いて一般需要家、発電事業者、送配電事業者といった各階層における顧客向けに、エネルギーの最適制御を行うソフトウェアを指す。
2018年に米国の大手住宅用太陽光発電事業者であるSunnova社との蓄電池ビジネスの資本・業務提携を締結。
2012年創業のSunnova社は全米大手の住宅用太陽光事業・ESS事業者であり、ローンプログラムの他に、太陽光発電設備を自社保有する形(TPO(*1)モデル)で、カリフォルニア州を始めとする全米22州と、プエルトリコ、グアム、サイパン等、合計約60,000世帯(400MW以上)にビジネスを展開しております。
顧客とは基本的に25年間にわたって太陽光発電・ESSサービスを提供しています。
今後、米国では州毎に住宅用太陽光発電設備の補助政策(Net Energy Metering)が順次廃止・見直しされていく方向であり、太陽光で発電した電気を自宅で使う「地産地消」の流れや停電時のバックアップ電源として、ESSの需要が高まることが見込まれております。
本出資を通じてSunnova社と当社は米国市場に適したESSの共同開発を行い、Sunnova社の太陽光発電設備の設置場所へのESS導入、ならびに当社の出資先である英国Moixa Energy Holdings Ltd. (以下「モイクサ社」)のAIソフトウェア「GridShare Client」を活用した、米国市場におけるESSの最適運用サービス展開の検討を進めます。
2019年には日本の株式会社エヌエフ回路設計ブロックと、Energy Storage System(ESS )と呼ばれる蓄電システム事業に関する合弁設立を発表。
さらに2020年にはカナダのEguana Technologies Inc.への出資参画し、北米・豪州・欧州における蓄電システム展開を加速させている。

トロント証券取引所(Toronto Stock Venture Exchange、略称「TSXV」)に上場するEguana社は、独自開発の蓄電システムを北米、豪州及び欧州市場を中心に販売しています。伊藤忠商事とEguana社は2015年より戦略的提携関係にあり、これまで共同マーケティングを行ってきましたが、今後蓄電池市場の成長が見込まれる北米、豪州及び欧州市場におけるビジネス展開を目的として、資本関係の構築を行うことに合意しました。今回のEguana社との関係強化を通じ、伊藤忠商事は下記出資先とのビジネス協業を進めて参ります。

(1)米国大手住宅用太陽光発電事業者である「Sunnova Energy Corporation」との住宅用蓄電システム事業展開
(2)英国「Moixa Energy Holdings Ltd.」 (以下「モイクサ社」)開発のAIソフトウェア「GridShare」のEguana社製品への搭載
(3)「株式会社NFブロッサムテクノロジーズ」との蓄電システム製造事業における技術交流

これらの協業を有機的に結び付け、米国、豪州及び欧州市場における蓄電システムの拡販ならびにGridShareプラットフォームを活用した蓄電システムの群制御によるバーチャルパワープラント事業の展開など、新規ビジネスの創出を進めてまいります。

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