住友商事の「生活・不動産部門」の前編として、「ライフスタイル・リテイル事業」、「食料事業」領域での取組を見ていきます。
住友商事│生活・不動産部門の収益
20/3期の生活・不動産部門の利益は513億円である。国内の主力子会社や不動産事業が好調に推移した結果、前年から+92億円と大幅な増益となった。
この結果、住商では(インフラ事業に次ぐ)2番目に大きな収益を稼ぐ部門へと成長した。
住友商事│生活・不動産部門の事業戦略
生活・不動産部門は、「ライフスタイル・リテイル事業」、「食料事業」、「生活資材・不動産事業」の3つの事業を柱としている。
本部戦略においては、サミット(食品スーパー)・トモズ(薬局)・青果事業・不動産の4つをコア事業と位置づけており、ヘルスケア・バイオマス・スマートシティの3つを新領域と定義している。
住友商事│ライフスタイル・リテイル事業概要
食品スーパー事業
- 食品スーパーのサミットを擁しており、首都圏を中心に115店舗を展開している。住商の食料事本部主管の住商フーズとともに、食品センターを開設したり、デジタルトランスフォーメーション組織を組成しサミットのスマホアプリを開発するなど、サミットの企業価値向上に住商グループとして取り組んでいる。
- 台湾では、食品小売りのSimple Mart事業に参画を行っており、677店舗を展開。
- ベトナムでは、同国の不動産大手BRGグループと共同でFujiMart Vietnam Retailを設立しFujiMartブランドを通じて日本式のスーパーマーケット事業を展開する。
ブランド事業・繊維事業
- ブランド事業では、ドイツ高級ブランドFEILERなどを展開。
- 繊維事業では、子会社のスミテックス・インターナショナル(アパレス・雑貨商品企画・製造)や住商モンブラン(サービスユニフォーム)を軸に展開している。
ヘルスケア事業
- ドラッグストア事業では、トモズを擁しており、現在は国内に180店舗を展開している。今後は海外のパートナーとの資本業務提携を模索している。
- ヘルスケア事業では、国内においてeWeLL(訪問看護業務システム)、地域ヘルスケア連携基盤(日本のヘルスケアプロバイダーのロールアップと経営支援)、インテグリティヘルス(オンライン診療システム)などの企業への出資を実行。さらに海外では、マレーシアの大手マネージドケア事業者であるPM CareおよびHealth Connect Holdingsを子会社化した。マネージドケアとは、企業や保険会社向けに企業の従業員や被保険者が医療機関で受診した際の医療費の支払い・請求代行のプラットフォームである。
食料事業
- 青果事業では、2017年にアイルランドのFyffes社へ出資を行い青果事業の強化を行った。同社は欧州・米州を中心に事業を展開し、バナナ・パイナップル・メロン・マッシュルームといった商品群につき生産地~消費者までのバリューチェーンを構築している。またアジアを中心にバナナ事業を手掛けるSumifru Singaporeも擁していたが、株式の49%をThornton Ventureへ売却することで合意した。
- 穀物事業は、豪州を中心に手掛ける。
- 食品・食肉事業では、中核である住商フーズを中核としてトレードを行う。
- 砂糖事業は、出資先の日新製糖を通じて行っている。
- 海外では、中国で製粉会社や穀物販売会社への出資を行っている。