三菱商事の複合都市開発グループの位置づけ
複合都市開発部門は、三菱商事の10グループの中で、不動産開発、インフラ、リース、不動産投資、などの知見を複合的に組み合わせ、都市化や低環境負荷といった社会・環境ニーズにこたえながら付加価値が高く規模感のある都市開発事業の確立をミッションとしている。
中期経営計画2021においては、複合都市開発は「モビリティ・インフラ」領域における「川下セクター」として、今後の強化領域として位置づけられている。
複合都市開発グループの構成
複合都市開発グループは、「都市インフラ本部」、「都市開発本部」、「アセットファイナンス本部」の3本部で構成されている。
関係会社からの持ち分損益としては、20%の出資比率を持つ三菱UFJリースや、米国における不動産事業の投資ヴィークルであるDiamond Realty Investmentsからの持分投資利益が大きい。
本部別の取組
都市インフラ本部
水事業、鉄道・港湾・空港運営事業、デジタル分野を含むインフラ開発・運営、インフラファンドの組成運用などを手掛けている。
水事業
以下の事業参画を通じて、世界各地で民営水事業や水供給事業を展開している。
- 英国のSouth Staffordshire(上下水道サービス)
- UAEのMetito Holdings(中東/アフリカでの総合水事業)
- チリのAguas CAP(鉱山向け海水淡水化事業)
- 日本の水ing(運営&エンジニアリング事業)
交通インフラ事業
鉄道EPC事業
カタールのドーハでメトロプロジェクト、パナマのパナマメトロ3号線のモノレールシステム納入などを受注。
鉄道運営事業
豪州キャンベラ市内のLRTシステムの建設・運航・保守に関する官民連携(PPP)事業を手掛けている。これは三菱商事にとって初めての鉄道運営事業となる。
空港運営事業
ミャンマーのマンダレー国際空港、福岡国際空港、モンゴルの新ウランバートル国際空港の運営をてがけている。
都市インフラ事業
- デジタルインフラ関連として、大阪でのデータセンター構築事業
- インフラファンドでは、世界最大級となるGlobal Infrastructure Partnersへ投資
- 道路運営事業では、インドの有料道路運営会社Cube Highways and Infrastructureへの投資
都市開発本部
都市開発本部は、主にアジアにおける不動産開発ならびに上場REITや私募ファンド組成運用に取り組んでいる。
不動産都市開発事業
- インドネシアでは、分譲住宅事業(現地財閥のLippoグループと共同事業)、ジャカルタ南西部の大規模都市開発プロジェクト(現地財閥のSinarmasグループと共同事業)。
- ベトナムでは、ハノイでの大規模都市開発プロジェクト(Bitexcoとの共同事業)、ビンズン省での分譲住宅開発事業(シンガポールのSembcorpグループと共同事業)。
- ミャンマーでは、ヤンゴン中心部での大規模複合開発を三菱地所や現地財閥SPAと進めている。また、住友商事や丸紅と共同でティラワ経済特区の工業団地開発。
- フィリピンでは、分譲住宅事業や大型オフィス開発。
- インドでは、チェンナイの複合開発にも参画。
- 中国では、金地集団との共同事業として瀋陽市での分譲住宅や、万科集団との住宅開発。
インフラファンド事業
- シンガポールの投資会社テマセクとのJVである、MITBANA社を通じて東南アジアでの複合都市開発事業への投資をおこなっていく。
- 米国では、Diamond Realty Investments が私募動産運用会社を設立
- 国内では、子会社の三菱商事都市開発(”MCUD”)がJ-REIT組成運用などを行っている。
アセットファイナンス本部
同本部は、国内外での航空機・自動車リース事業や、企業投資事業を展開している。
リース事業
- MCアビエーション(MCAP)を通じた航空機リース事業
- 三菱オートリースを通じた自動車リース事業
企業投資事業
- アセアンを投資対象とするPEファンド
- 北米企業を対象とするバイアウトファンド
- シリコンバレーのベンチャー企業を投資対象とする投資ファンド
Engineering, Procurement, Construction の略称。「ターンキー契約」と同等で、鉄道システムの新規導入・更新において、設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を含む、基本設計から試運転まで、鉄道計画の遂行・管理を一括受注し、システム全体を納品すること。