三井物産│食料部門の取組とは?│非資源の中核事業

三井物産│食料部門は非資源の中核事業

三井物産はいわゆる資源系の収益比率が高いことで有名ですが、そんな三井物産の中で食料部門は非資源領域の中の中核事業といえる存在である。

以下は、20/3期のセグメント収益だが、食料関連事業は黄色の「生活産業セグメント」の一部となっている。

出所:三井物産│2020年3月期決算│決算資料

 

食料事業のビジネスモデル

商社の食料分野でのビジネスモデルは「食品サプライチェーンの囲い込み」である。

商社は、原料・製品を取り扱うあらゆる業態に属する企業と取引・資本関係を結んでおり、伝統的に取引関係上で重要な企業に対して自ら出資することで系列に囲い込むモデルを取っている。

食料部門の主な収入は、以下の3つの形態をとることがほとんどである。

①食品メーカーに対しする原料供給(商品売買)に対する売上

②農水畜産品卸、海外企業、食品メーカーに対して加工食品卸や外食・食品小売業者との取引を仲介する際の口銭手数料

③出資先企業からの投資リターン(配当など)

 

三井物産の食料セグメント

三井物産の食料関連事業は、生活産業グループの食料本部」と「流通事業本部が行っている。

本部別の取り組み

 

食料本部と流通事業本部が食料・食品のバリューチェーン上で相互補完的な関係を構築している。

出所:三井物産│統合報告書2019

 

食料本部

たんぱく質、糖質、脂質、主食、バリュー素材、食糧ネットワークを事業ドメインとしている。ニュートリション(栄養素)の観点を中心にグローバルな基盤を有しており、最近では日本政策投資銀行(DBJ)と共にインドネシアを中心に東南アジアで総合食品事業を展開するFKS Food & Agri (FKSFA) に対してマイノリティー出資を行った。

 

畜産事業

たんぱく質領域において中核事業とされるのが畜産ビジネスである。飼料領域など他のオペレーティングセグメントと協働し、飼料の原料輸入>>資料添加物製造>>配合飼料製造・販売>>食肉生産・処理・加工>>流通・販売、といった川上から川下に至るまでのバリューチェーンを構築している。

畜産事業における中核会社がプライフーズで、ブロイラー事業、ハイポー事業(種豚)、ゴーデックス事業(食鳥処理機械)を事業の柱としている。

また、国内の食肉業界最大手のスターゼンと資本業務提携を行い、アジアを中心とした食肉需要増加を狙う体制を整えている。

海外では、モロッコの穀物・飼料・ブロイラーインテグレーション事業者であるZalar Holdingへ出資も果たした。

 

穀物分野

トレーディングと事業経営の双方を行っている。事業経営では、米国の穀物集荷・販売事業 United Grain Corporation of Oregon (UGC)ブラジルの農業生産事業XINGU AGRI豪州の穀物集荷・販売事業Plum Groveなどを展開している。

 

水産分野

チリのサーモン養殖・加工・販売を行うサルメックス社や、世界最大のベトナムのエビ生産加工会社Minh Phu Seafoodへの出資参画も果たした。

 

糖質分野

三井製糖とのタイ、シンガポール、中近東での協業などを行っている。

 

食品原料分野

三井農林と協業し、家庭用紅茶や緑茶の製造販売をしている。

 

果実・野菜分野

果菜加工品の物産フードマテリアル、コーヒーの生豆輸出と焙煎事業を手掛けるブラジルのMitsui Alimentosなどが存在。

 

流通事業本部

流通事業本部の中核事業は総合食品卸の三井食品である。

また、コンビニ関連ビジネスを展開するベンダーサービスリテールシステムサービスなどはコンビニ業界の成長を背景に堅調に業績は推移している。また、イタリアの高級チョコレート・ジェラートブランドのVenchi社と日本でのJVを立ち上げた。

海外では、米国最大手の油脂製品製造会社のVentura Foodsなどへの投資をしている。

 

また、供給、調達、物流などの「商社機能」を先鋭化させて、セブン&アイホールディングスに対して長年にわたり価値を提供している。

 

タイトルとURLをコピーしました