丸紅の食料部門の取組は? 非資源事業の中核として安定収益を維持

丸紅の食料領域の取組を見てみます。

丸紅│食料セグメントの位置づけ

丸紅では19/4に組織改正があり、食料事業は「食料・アグリ・化学グループ」の中の「食料本部」が手掛けている。

出所:丸紅│中期経営計画2021

丸紅│食料本部のセグメント損益

食料本部は、2018年度当期利益196億、2019年度195億円と安定した利益を出している事が特徴である。

全社ベースで最終赤字となった2019年度においては資源系が減損でことごとく悪化する中、「建機・自動車・産機本部」に次ぐ2番目の利益を確保するなど、非資源分野の中核事業として安定的な利益を創出している重要なセグメントである。

出所:丸紅│2020年3月期決算資料

なお、減損などのニュースで話題になる米国ガビロン社(穀物収荷と販売事業)については、19/4の組織変更により、食料本部ではなく、アグリ事業本部の穀物海外事業部の所掌となった点に注意が必要である。

同じ営業グループのアグリ本部についてはこちらを参照。

丸紅の化学品・アグリ部門の取組は?ガビロンやヘレナなど北米重要子会社を擁する
丸紅の化学品部門の取組は?

 

丸紅│食料本部の取り組み

強みはコーヒー生豆(ブラジル)や牛肉(米国・豪州)

現状認識分析を以下に定義しており、強みは取扱量トップクラスのブラジルコーヒー生豆や米国豪州の牛肉のトレードなどに強みを持つ。

出所:丸紅│統合報告書2019

 

成長戦略として、食料・穀物のバリューチェーン拡大を狙う

事業領域別の取り組み

食料事業

食品事業

食品流通分野
食品原料事業
  • 中核会社の丸紅食品が油脂原料、食品大豆、乳製品、砂糖、小麦粉などを扱っている。
飲料原料事業
水産事業
畜産事業

丸紅│食料本部│牛肉事業① 丸紅│食料本部│牛肉事業②

 

穀物事業

国内の穀物トレードを手掛けており、取り扱い量は総合商社トップである。

供給サイド(海外)

世界最大の穀物生産・輸出国である米国に、穀物収荷と販売事業のガビロン社、コロンビア・グレイン社、米西海岸に輸出ターミナルであるパシフィコ社を配し、日本はじめ世界各国の穀物需要にキメ細やかに対応できる体制を整備している。

需要サイド(日本国内)

大量の穀物を安定供給できる体制も整備している。

  • 日本全国7か所に穀物サイロ群を保有
  • 日清丸紅飼料(資料の製造・販売)
  • 日清オイリオグループ搾油工場(製油事業)

結論:日本の食糧輸入量に左右されるものの、業績は極めて安定推移している事業

冒頭のセグメント利益でも示したように、産地の天候不順による供給ひっ迫、伝染病(豚コレラ)、日本の食糧需要の減退などの影響はあるものの、国内の穀物供給においては取扱量トップである等のリーディングポジションを確立しており、業績は極めて安定推移している事業である。一方で、資源系ビジネスのような爆発的な利益成長もないことから、今後は食料バリューチェーンの拡大や、プレミアム価格帯の食糧の取扱を増やすといった事業の展開が必要とされている。

タイトルとURLをコピーしました