三菱商事 中期経営戦略2021とは?│22/3期に9000億を目指す

2019年4月より「中期経営計画2021~事業経営モデルによる成長の実現(以下、中経2021)」が開始した三菱商事の経営方針を解説する。

以前の中経2018では、18年度目標をすべて1年前倒しで達成するなど、計画の実行性には定評がある。

事業ポートフォリオ

横軸に「生活」、「モビリティ・インフラ」、「エネルギー・電力」、「サービス」、縦軸に「川上」、「川中」、「川下」の12セクターで事業ポートフォリオを表現している。

三菱商事│中計2021

引用:三菱商事中期経営計画2021

 

「生活の川下・川中」は、三菱商事が強みをもつセクターであるが、国内で確立したビジネスモデルを海外市場に展開するなどの更なる成長が期待されている。

「モビリティ・インフラ」、「エネルギー・電力の川上」はカントリーリスク・地政学リスクの少ない地域を中心に展開。

「モビリティ・インフラ」の川中、川下は東南アジア等の既にプレゼンスの高い地域での事業拡大を進める。

ほかに、ミャンマー、インド、アフリカを「全社支援国・開発地域」に指定し、市場開発に注力。

成長メカニズム

従来の7グループ24本部から10グループ28本部へ大規模な組織改編を実施。確立したグループのサイロ化を緩和し、業界での立ち位置の再定義により新しい展開が考えうる事業を統合するという考えでの再編となる。

10グループのミッションは以下。特に「収益の柱」として自立するのは太字の6グループである。
新グループミッション(要約)
天然ガスLNGは主力電力や産業用途として需要拡大。 電力ガス自由化等の電源多様化に伴い、LNGの需給調整機能が重要に。
総合素材素材ニーズ多様化に事業機会。 一方で、業界環境は競争激化。顧客の課題解決に貢献できる役割の再認識が必要。
石油化学低酸素社会への移行や環境対応の重要性が高まる。 会社の強みを活かして選択と集中を行う。
金属資源原料炭、銅を中核に優良資源の供給に関するコスト競争力と品質を磨く。 環境・安定供給でのサステナビリティを重視。
産業インフラデジタル化や環境負荷軽減に事業機会。 機械、船舶、プラントにとどまらず新たなビジネスモデルを模索。
自動車モビリティデジタル化やCASE進展に事業機会。 モビリティにかかわる新たなビジネスモデル構築を企図。
食品産業安定かつサスティナブルな供給モデル構築。 日本の良質な商品サービスの海外市場への水平展開。
コンシューマー産業リアルとデジタルの融合に商機。 消費者にとって利用価値の高い小売・流通プラットフォーム構築を目指す。
電力ソリューション再生可能エネルギーやデジタル技術の融合に商機。 電力安定供給、需給調整機能などで顧客への新たな価値を提案。
複合都市開発都市開発、インフラ、アセットファイナンスなど複合的な価値の組みあわせによる事業確立。

 

人事制度改革

  • 経営力の高い人材を継続輩出することを目的に、「多様な経験を通じた早期育成」、「実力主義と適材適所の徹底」、「経営人材の全社的活用」などを実践。
  • 経営力とは、①構想力(洞察力、戦略構想力)、②実行力(リーダーシップ、達成意欲)、③倫理観などを指す。

定量目標・資本政策

  • 2021年に連結純利益9000億
  • 配当は「累進課税」の考えを継続し、配当性向を現在の30%から35%に引き上げていくことを目指す。
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