本日、伊藤忠商事の20/3期(19年度) 決算発表がありました。
住友商事│20年3月期決算のハイライト
住友商事│20年3月期の決算概況
前述の通り、19年当期利益は1714億円で〆。Q4でのマイナスが響き対前年比▲46%の結果に。
右下に銅や石炭の基準価格の前提が掲載してありますが、市況がこの1年で大きく軟化している事が分かります。
住友商事│20年3月期実績のセグメント別利益
セグメント別では、対前年比較で金属(鋼管・鋼材)で▲905億、輸送機・建機▲220億円、資源・化学品で▲232億などの悪化が響きました。
金属事業│▲905億
鋼管価格の市況の軟化(20か月連続での下落、価格ベースで▲24%下落)により、鋼材部門にて海外スチールセンター事業での減益、非鉄金属部門でのアルミ精錬事業の不調、鋼管部門では北米鋼管事業会社の減損や在庫評価損の計上などが大きな損失を生んだ形。
- 主要会社の持ち分損益状況を見てみると、米国で鋼材鋼管事業を行うEdgen(エジェン)グループの最終赤字が連結される形。
- また、19年6月に行った米国のスチールサービスセンター(マジックスチール社)の買収が、買収後に鉄鋼市況悪化をもろに受ける形で裏目に出てしまったのではないかと推測される。
建機・輸送機事業│▲220億
こちらは販管費増加や、持分投資損益の減少などが減益の理由。
自動車メーカー減産による製造事業の低迷やタイヤ卸売および小売事業を行う米国のTBC社の減益で自動車部門は数十億の赤字となった模様。
資源・化学事業│▲253億
銀、亜鉛、鉛のトレード数量の減少や、豪州石炭事業の市況軟化の影響が大きかった。
持分損益で見てみると、マダガスカルのニッケル事業は前期から改善がみられたものの未だ▲205億の持分損失となっており、ボリビアの銀・亜鉛・鉛事業会社も前期から▲250億の悪化、米国タイトオイル・シェールガス事業も前期から▲60億の悪化となっており、上流での資源開発(E&P)事業が軒並み崩れている。
住友商事│21年3月期見通し
21年3月期 業績
現時点では、合理的な見通しを開示することは困難とし、非開示。
21年3月期 配当政策
先述の通り、普通配当ベースでは前年維持となる70円目標としています。最終的には、配当性向30%を目安に配当可能なキャッシュフローの金額を見極めて配当額を決定するとしています。
総合商社7社の決算まとめ
総合商社7社の明暗が分かれる形に!
総合商社7社の20/3期決算がそろいました。
過去最高益を更新した伊藤忠、減益ながらも商社#1の利益額を堅持した三菱商事、前年と同規模の利益を確保した三井物産と豊田通商
金属市況悪化などに苦しめられた双日、そして減損が響き大幅減益となった住友商事、7社で唯一の大幅な最終赤字となった丸紅
と明暗が大きく分かれた決算だったように思います。
当期連結利益(億円) | 18年3月 | 19年3月 | 20年3月 | 21年3 見通し | 20年3月 対19年3月 | 21年3月 対20年3月 | |
三菱商事 | 5,602 | 5,907 | 5,354 | -9% | |||
三井物産 | 4,185 | 4,142 | 3,915 | 1,800 | -5% | -54% | |
伊藤忠商事 | 4,003 | 5,005 | 5,013 | 4,000 | 0% | -20% | |
住友商事 | 3,085 | 3,205 | 1,714 | -47% | |||
丸紅 | 2,113 | 2,309 | -1,975 | 1,000 | -186% | -151% | |
豊田通商 | 1,302 | 1,326 | 1,356 | 2% | |||
双日 | 568 | 704 | 608 | 400 | -14% | -34% | |
7社合計 | 20,858 | 22,599 | 15,985 | ||||
7社中央値 | 3,085 | 3,205 | 1,714 | ||||
7社平均値 | 2,980 | 3,228 | 2,284 |
過去10年の総合商社7社の利益推移