伊藤忠商事の金属部門の取組は?│資源系の屋台骨事業

伊藤忠│金属部門の収益

20/3期の当期利益は1114億と、前年比から+326億の増益となり、金属部門は伊藤忠で最も稼ぐ事業体となった。

出所:伊藤忠│2020年3月期決算資料

伊藤忠商事の金属カンパニー

伊藤忠の金属部門の取り組みに焦点をあてる。

当カンパニーは「金属資源部門」及び「鉄鋼製品事業室」を含む直轄組織で構成されています。

金属資源部門は鉄鋼・電力等、社会インフラの基礎産業を原料・燃料の面から支える部門であり、世界各地で鉄鉱石・石炭・ウラン・ベースメタル・レアメタルの鉱山開発とそのトレードを行っている他、アルミを中心とした非鉄金属原料の開発事業及びトレードビジネス、金属原料・製品の取引、リサイクルビジネス等を展開しています。

また当カンパニー傘下の鉄鋼製品事業室において伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社が手掛ける鉄鋼製品ビジネスというフィールドにおいて、シナジーの追求や各種サポートを行っています。

これら金属カンパニーの活動は、資源・エネルギー、また金属原料・製品の安定供給を通じて、世界経済の発展に貢献しています。

以下は伊藤忠の時系列のオペレーティングセグメント別の当期利益の推移となる。

紫色が金属カンパニーの当期利益となっており、14年~15年は金属資源価格の下落により大幅な減益となっているが、現在(18/3)においても伊藤忠において食料、エネルギー・化学品に次いで3番目に大きな収益源となっている事が分かる。

出所:伊藤忠│統合報告書2019

主な事業分野

鉄鋼・電力・非鉄金属業界を中心とした基礎産業への原料の安定供給をめざし、世界各地でその開発とトレードを行っている。

金属資源分野

  • 中核会社は100%出資の事業会社である豪州ITOCHU Minerals & Energy of Australia (“IMEA”) であり、西豪州事業やインドネシアの鉄鉱石・石炭の資源開発権益を集中保有し、鉱物資源開発の効率的な事業運営を行っている。以下は金属カンパニーの主要事業会社であるが、IMEAが利益の太宗を稼いでいる。

 

鉄鉱石分野

  • オーストラリアでIMEAを通じて複数の鉄鉱山開発事業を手掛ける。
  • ブラジルでは鉄鋼大手Congonhas Minérios社に日韓台企業連合の最大株主として資本参加。

石炭分野

  • 大手資源会社グレンコア社等と共同で、オーストラリアのクイーンズランド州、及びニューサウスウェールズ州にて石炭生産・販売を行うジョイントベンチャーを運営。
  • コロンビアでは世界でも有数の規模を誇るドラモンド炭鉱を保有。
  • インドネシアの原料炭炭鉱であるスプラバリ炭鉱への投資
  • カナダの原料炭、Telkwa探鉱プロジェクト、またオーストラリア・クイーンズランド州の原料炭、Vitrinite探鉱プロジェクトも手掛ける。
伊藤忠は、ESG(環境・社会・ガバナンス)およびサステナビリティの観点から「新規の石炭火力発電事業の開発および一般炭炭鉱事業の獲得は行わない」との方針を19年2月に打ち出した。その一環として豪州の一般炭炭鉱の全持ち分売却を実施した。
一般炭と原料炭

石炭のほとんどは、電力用途と鉄鋼用途に使われます。
一般炭とは、いわゆる燃料として用いられる石炭で、火力発電、一般産業のボイラ燃料、セメント製造用などに利用されています。
原料炭とは、鉄鋼を作る際に用いられるコークスの原料になる石炭です。ESGの観点から、CO2を排出する火力発電に使われる一般炭の開発事業には金融機関からの融資がつかなくなるなど、事業への風当たりは厳しくなっている。

非鉄分野

  • アルミでは、アルミ製錬事業Albasへの参画。
  • 銅、亜鉛では、カナダImperial MetalsやカナダRuddock Creek炭鉱事業に出資。
  • プラチナ・ニッケル関連では、南アフリカのPlatreefプロジェクトへの参画。
  • ウラン関連では、JCU Canadaがカナダに未開発鉱区を保有しているが、世界的なウラン市況低迷もあり、当面は事業環境を見極めていく姿勢。
  • 伊藤忠丸紅鉄鋼が鉄鋼製品等の輸出入および加工・販売。
  • 伊藤忠メタルズが非鉄製品や鉄スクラップや金属リサイクルなども行う。
  • そのほか、中国、シンガポールなどでもトレード事業会社を有する。