丸紅の機械部門の取組を見てみます。
丸紅│機械インフラ部門の位置づけ
丸紅では19/4に機構改革があり、新組織下において機械部門は「社会産業・金融グループ」の中の「プラント本部」、「航空・船舶本部」、「建機・自動車・産機本部」が手掛けている。
後編では、「航空・船舶本部」、「建機・自動車・産機本部」の2本部にフォーカスをあてたい。
丸紅│機械インフラ部門の業績
「航空・船舶本部」
20/3期は116億円の黒字を維持。丸紅の中では比較的安定的に黒字を出している部門である。英国洋上風力の減損にて減益となった。
「建機・自動車・産機本部」
20/3期は196億円の黒字を維持。丸紅の中では比較的安定的に黒字を出している部門である。前年度に計上した一過性売却益の反動で減益となった。
丸紅│船舶・航空・建機・自動車・産機の取り組み
ビジネスモデル
出所:丸紅│統合報告書2019
事業展開地域
船舶・航空本部の取組
強みは、アフターマーケットまで手掛ける航空事業や一般商船からLNG船まで手掛ける船舶保有運航事業など。
航空事業
- 航空機・エンジントレード事業は、米国Magellan Aviation Groupによるパーツアウト事業や短期エンジンリースなどを手掛ける。
- エンジン・部品整備サポート事業は、スイスの航空機整備会社SR Technicsの代理店を務める。また航空機部本の売買仲介プラットフォームを提供するイスラエルのスタートアップePlane社へ出資した。
- 空港関連事業では、スイスポートジャパン社が国内6空港(成田、羽田、中部、関空、新千歳、福岡)でグラウンドハンドリング事業を行う。また、ZMP社とのJVであるAiRo社を通じて空港制限区域内の自動走行車両サービスも行っている。
- ビジネスジェット事業では、Hondajetのディーラー権を獲得。また19年にはJALとビジネスジェットの運航サービスに参入することを発表。
- 防衛関連では、丸紅本体が装備品輸出やODA案件を手掛ける。子会社の丸紅エアロスペースは、伊Leonardo社製ヘリや米Honerywell社製大型ヘリ用エンジンを取り扱う。
- 宇宙分野では、インターステラテクノロジズへ出資し、ロケット開発等に取り組んでいる。
船舶事業
- トレーディング事業では、新造船・中古船の売買、用船仲介、船舶機器販売を行う。
- 自社保有船事業では、シンガポールの船舶保有・運航会社MMSLで約50隻(主に中型ばら積み船)を保有。
- LNG船事業では、BW Gas、Teekay、SK Shippingなどをパートナーに16隻を共同保有している。
建機・自動車・産機本部の取組
産業システム事業
- 太陽光発電関連事業、EV用充電器関連、電子部品、デジタルサイネージなどを手掛けている。
- モビリティ関連に力を入れており、韓国Signet EV社よりEV用充電器の総販売代理権を獲得。そのほか、EVオペレーション最適化のための複数商材・サービス(EVトラック・バス、充電器、プロダクトサポート、充電ネットワークシステム、電力)を一括で行うワンストップサービス事業の構築を目指している。
- その他、構造ヘルスモニタリング(SHM)事業を手掛ける米国のAcellent社へ出資し、航空機・鉱山機械・橋梁・パイプライン・自動車バンパーなどのモニタリングによるSHM as a service領域における新ビジネス創出を目指している。
自動車・リース事業
- ドイツのスタートアップWunder Mobility Solutionsとフィリピンにおける企業向けカープーリング事業の実証実験を開始。
- またタイではテレマティクスシステム実証実験を開始。
- 米国のスタートアップで自動運転配送を行うudeiv社へ出資。
- 中国の大手商用車フリートマネジメント事業者のG7社とコールドチェーン(低温輸送網)構築事業を開始した。
自動車に通信システムを搭載することで、様々な情報を送受信できるシステム