三菱商事の石油・化学グループ
三菱商事の化学品部門の取り組みとして、石油・化学グループに焦点をあてる。
三菱商事は19/3に大きな組織改正を実施し、「石油化学本部」、「石油本部」、「基礎化学本部」の3本部制に移行。
石油化学本部
エチレン キシレン
同本部はその名の通り石油化学関連領域を担当する。川上のエチレンやキシレンといった原料から川下のプラスチックや繊維などから構成される石油化学分野において事業を展開。
三菱商事の稼ぎ頭となっているのは、33.34%を出資するサウディ石油化学株式会社(SPDC Ltd.)の持ち分投資利益。SPDCは、サウジ・日本本政府の支援を受けて設立された、石油化学合弁事業を推進する日本側窓口会社となっている。また、マレーシア石油大手のペトロナス社との合弁であるPetronas Chemicals Aromatics Sdn. Bhd.はパラキシレン・ベンゼンの製造を手掛ける主要子会社である。
国内では、60.59%出資するプラスチック食容器製造・販売会社である中央化学や、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、PET樹脂の製品販売を手掛ける三菱商事プラスチック、シリコーンや溶剤を手掛ける三菱商事ケミカルなどがある。
石油本部
同本部は、原油・石油製品の仕入販売・三国間トレーディング、さらにはガソリンスタンドの一般消費者向け販売など幅広い営業活動を展開しています。LPG事業については、「アストモスエネルギー株式会社」の経営をサポートし、同社の健全な発展に貢献するとともに、愛媛県今治市で国が推進中のLPG国家備蓄計画に協力しています。
中核事業会社は、49%を出資しLPG(Liquefied Petroleum Gas│液化石油ガス)の販売などを手掛けるアストモスエネルギー、燃料油販売やガソリンスタンドの建設運営を手掛ける三菱商事エネルギーなどがある。
基礎化学本部
同本部は、工業塩、メタノール、アンモニアなどの基礎化学領域を手掛ける。川上の原料から川下の製品までを繋ぐ、「バリューチェーン型事業」を展開しているのが特徴。戦略分野に位置づけるのが、クロールアルカリとC1ケミカル(メタノール・アンモニア等)である。
クロールアルカリ
性ソーダ(紙・パルプや化学繊維、アルミナなど幅広い産業で使用される)や塩素(塩ビモノマー、塩ビ樹脂などの塩化物)、水素(石英素材の製造に利用)などを取り扱う。
主要会社は、49%を出資するメキシコの製塩会社Exportadora de Salなどを持つ。同社は、メキシコ政府と三菱商事の合弁の世界最大の塩田事業である。
C1ケミカル(メタノール・アンモニア等)
合成ガスを原料としたメタノール・アンモニア分野では三菱商事は高い市場シェアを有している。
25%を出資するベネズエラのMetanol de Oriente METORは競争力のあるメタノールを生産し、欧米向けに販売している。
また、三菱ガス化学、三菱重工、トリニダード・トバゴ国営ガス会社との合弁事業でメタノール・ジメチルエーテルの製造販売を今後予定している。
また、インドネシアでPanca Amara Utamaによるアンモニア製造事業を行っている。
また、国内有数の肥料メーカーであるエムシー・ファーティコムや販売会社の三菱商事アグリサービスなども有する。明和産業、中央化成、中央シリカなども。
総合化学品トレード会社の設立
最近のトピックスとしては、総合化学品トレーディング会社であるIVICT(アイヴィクト)社の設立。
これまでの三菱商事の化学品関連ビジネスのトレーディングを抜き出し、事業会社化する試みである。ドイツ、中国、シンガポール、タイの4か国を拠点化し、欧州・中国・ASEANの各市場に根差したサービスの提供を目指す。
石油精製工場では、原油からいろいろな石油製品がつくられ、そのひとつがナフサである。
ナフサはパイプラインでナフサ分解工場(石油化学基礎製品工場)へ運ばれ、ここで化学反応を利用しエチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンといった重要な製品につくりかえられる。