三井物産│機械インフラ部門の取組とは?│非資源の中核で利益の2割を稼ぐ

三井物産│機械・インフラ部門の収益

以下は20/3期の三井物産のセグメント別当期利益の内訳となる。機械・インフラ部門は、薄ピンク部分(875億円)だが、全社利益3915億円の2割超を稼ぐ部門である。

 

三井物産│機械・インフラ部門の位置づけ

機械・インフラ関連として、プロジェクト本部」と「モビリティ第一本部」、「モビリティ第二本部の3本部制を敷いている。CASEに代表されるモビリティ領域を取り巻く環境が大きな転換期を迎えており、従来の「機械・輸送システム本部」から「モビリティ本部」に名称変更がなされた。

出所:三井物産│中期経営計画2023

 

以下の通り、機械・インフラと一言にいっても、電力設備、海洋エネルギー設備、ガス配給、自動車、産業・建設機械、鉄道、船舶、航空・宇宙、など商社らしい非常に幅広いポートフォリオを有している事が特徴である。

出所:三井物産│統合報告書2019

事業環境と個別戦略

中計2023においても、機械・インフラは戦略領域のひとつと定義されている。

以下は中計2023の資料の抜粋だが、電力(IPP)や海洋エネルギー(FPSO)などに力を入れていく方針となっている。

 

事業別の取り組み

プロジェクト本部

「電力」

 

IPP(独立発電事業者)事業者として世界各国で発電資産を保有し、電力事業の開発・運営を展開しており、持ち分発電容量で11ギガワットものアセットを保有。

需要家(オフテイカー)との長期売電契約(PPA)に基づく安定収益を生むアセットが多く、燃料別だとガス火力が7割を占める。地域別にはアジア、EMEA、米州の3拠点をバランスよく保有している。

 

直近では、19年11月にタイで2件目のガス火力発電事業18年12月のアルゼンチンでの風力発電などに参画している。アルゼンチン案件の参画により、三井物産の燃料別では再生可能エネルギーの比率は14%にまで高まった。

脱石炭火力の流れがある中で、今後再生可能エネルギーの比率を高める事は非常に重要であり、三井物産は2030年にまでに再エネ比率を30%に引き上げる目標を掲げている。

「海洋エネルギー(ハイドロカーボン)」

LNG受入・輸出基地、ガスパイプライン・ガス配給、石油精製インフラ、化学プラント、深海油田用生産設備などを主な領域としている。

特に、三井物産がマイノリティー出資する三井海洋開発(MODEC)とのパートナーシップを基軸に、浮体式生産貯蔵積出設備事業(Floating Production, Storage & Offiloding System “FPSO”)事業に取り組んでいる。これは洋上で海底からくみ上げた原油、ガス等を分離し、設備内のタンクに貯蔵した後、直接輸送タンカーへの積み出しを行う施設となる。FPSOはオフショアでの浮体式石油・ガス生産の6割を占めるポピュラーな設備で、世界で約170基が操業している。

三井物産のプレゼンスが高いブラジルにて、ペトロブラス(ブラジル石油公社)と長年にわたる取引関係があり大型のプロジェクト実績を有している。

また、商船三井と組みノルウェーの海洋石油ガス業界の大手Akerグループ子会社の株式を取得し、海底石油ガス電の生産に不可欠な海底設備(サブシー設備)の据え付け作業や海底井戸の構築・保守・改修に従事するサブシー支援船の保有・運航事業などに参画している。

 

「ガス配給」

ブラジルでのガス配給事業への参画、メキシコでのガス配給事業への参画、ブラジルでの熱電併給サービスなどを行っている。

モビリティ第一本部

「自動車」

米国の自動車小売業Pensuke Automotive Groupへの出資、Pensuke Truck Leasingを中心とするトラックリース・レンタル事業などが収益貢献している。

チリでは自動車の販売からオートローンまで総合的なビジネスを展開し、アジアでは自動車の製造・卸事業、インドネシアで二輪車販売金融など広く展開している。

「建機・産機」

建設機械、産業機械の分野では、コマツとの海外事業展開などで鉱山機械需要が好調である。

モビリティ第二本部

「鉄道」

北米や欧州にて鉄道貨車リース事業や、ブラジルの一般貨物輸送事業などに取り組んでいる。

「船舶」

中核子会社である東洋船舶や、シンガポールのOMC Shippingなどを中心に船舶管理、用船・中古船仲介、船用機器販売などを行っている。

「航空・宇宙」

航空機・エンジンリース事業、貨物機改修事業、ヘリコプター・ビジネスジェット販売事業などをてがけている。

宇宙分野では、JAXAとの提携を通じて超小型衛星放出サービス事業を推進する予定である。

 

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