丸紅のエネルギー部門の取組を見てみます。
エネルギーセグメントの位置づけ
丸紅では19/4に組織改正があり、エネルギー事業は「電力・エネルギー・金属グループ」の中の「エネルギー本部」が手掛けている。
新組織化では、電力本部とエネルギー本部が同じグループとなり、総合エネルギーソリューションを追求していく形となる。
丸紅│エネルギー部門の業績
20/3期は、。北米の石油・ガス事業などの大幅な減損が影響し▲1493億の大幅な最終赤字に終わった。
エネルギー本部の取り組み
強みは上流権益、トレード、原子力事業
エネルギー本部は、石油・ガスのE&P事業、天然ガス事業、新エネルギー関連(水素、アンモニア、蓄熱など)、石油・LPGのトレード、原子力(ウラン鉱山開発、原子力燃料サービス)などを行っている。
現状認識分析を以下に定義しており、強みは上流権益、トレード、原子力事業などに強みを持つ。
出所:丸紅│統合報告書2019
成長戦略として、天然ガス・LNGの上流権益比率の拡大を狙う
低炭素社会への移行というトレンドを受けて、天然ガスを中心として権益獲得を狙うとともに、中流下流事業への展開も企図している。
事業領域別の取り組み
石油・ガス開発事業
子会社である、米国Marubeni Oil & Gas等を通じて、各国でのE&P事業を行っている。
- 米国メキシコ湾石油・ガス開発
- 英国北海油田
- インドRavva油田
- ロシアサハリン1プロジェクト
19/3時点の丸紅の原油・ガスの持分生産量は日量34千バレル相当である。
LNG事業
丸紅は、カタール、赤道ギニア、ペルー、パプアニューギニアにおいて天然ガス液化事業に参画している。
また、2016年にロシア民間最大のガス生産販売会社ノバテク社と石油ガス分野での協業覚書をかわしており、ロシア北極圏ギダン半島にて計画する新規の北極LNG-2プロジェクトの上中流開発、LNG取引及び輸送、ガス関連インフラの開発、石油製品取引に関する協業機会を検討中のステータスである。
トレーディング事業
- 米国のMIECO社が北米および環太平洋地域を中心とした石油・天然ガス類のトレーディングを担っている。
リテール事業
原子燃料事業
- カザフスタンにおけるウラン鉱山の操業
- 中国の国有石油化学企業SINOPECとの間で、船舶燃事業に関する協業
- 原子力関連機器のトレーディング
エネルギー事業は、原油・ガス権益事業の損失最小化が今後のカギ
以下は丸紅のエネルギー事業の18年度(19/3期)実績における主要会社の連結損益だが、LNG事業+155億、トレード事業(MIECO)+41億、リテール事業(ENEOSグローブ)+9億、石油・ガス権益事業では▲122億となっており、LNG事業の利益を石油・ガス権益事業の損失が相殺する構図となっている事が分かる。赤字を垂れ流している上流権益事業の損失をいかに食い止めるかが今後のカギとなりそうである。